肩関節疾患に対するリハビリテーションアプローチのポイント

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肩関節疾患に対するリハビリテーションを行っていくうえで軟部組織の状態を見極めて治療を進めてくことは非常に重要です。
今回は拘縮肩と不安定性の肩の特徴や相違点、治療のポイントなどについてまとめさせていただきました。

拘縮の軟部組織は短縮(伸びない状態)と癒着(滑らない状態)が合わさったものです。そのため必然的に支持性は高い状態であり、可動性は逆に低い状態となります。
反対に不安定性のある肩の軟部組織は支持機構が破綻しており、緩く・伸びすぎた状態となっています。そのため拘縮とは逆に支持性は低く、可動性は高い状態となります。
以下、表に示します。

図1

上の表から見てわかる通り拘縮肩・不安定性の肩に対して行う治療内容は違う目的で行われるべきだということがわかります。
拘縮肩に対しては伸張・滑走性回復の治療を行い、不安定性の肩に対しては筋機能を回復させる治療を行うことが必要なのです。

肩関節安定化のメカニズム

肩関節安定化因子としては、肩甲関節窩や上腕骨頭の骨性形態、肩甲上腕靭帯や関節包、関節内陰圧、腱板機能、肩関節周囲筋などが挙げられます。
肩関節の骨性形態は、肩甲骨関節窩面と、その表面積に対して直径で2倍ある上腕骨頭で形成されており、その関係はゴルフボールとゴルフのティとの関係に例えられます。また肩関節内陰圧も肩関節安定化には大切な要素です。通常肩関節が整復されてさえいれば、陰圧状態が破綻することは殆どありません。

肩関節は上腕の挙上や外転などの動きにより、回転中心が移動する「すべり」の要素を持ちます。その中で肩甲関節窩の縁取りをする関節唇はソケット状の形態を作成し、関節窩の深さを2倍にすることで、非生理的移動に対するバンパー効果を生み出し、肩関節の安定性を保とうとします。
関節唇の破綻により20%程度の肩関節安定性を失うと論じられています。
関節包、上腕関節靭帯は肩関節における主要制動組織であり、肩関節の角度や肢位によって各々の方向の力に対して制動に働く靭帯が異なります。靭帯や関節包は全周性に存在しており、ある一方向への脱臼を起そうとする力に対して関節包や靭帯が全周性に緊張し関節を制動します。

 


投稿日:2015-09-03 | Posted in OT通信No Comments » 

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