嗅覚と記憶~認知症に対するアロマセラピーについて~

人間にはが外界を感知するための多種類の感覚機能があり、古来からの分類による5種類の感覚を五感と呼びます。


視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の5つを指します。
では5感の中で最も一番記憶に残りやすいものって何なのでしょうか?
最も記憶に残りやすいのは「嗅覚」であると言われています。


においを嗅いだ瞬間、過去の光景がフラッシュバックしたり、特定の人や場所を思い出した経験はありませんか?
例えばある香水の匂いを嗅ぐと昔付き合っていた彼女の匂いと同じで彼女との思い出がよみがえってくるなどです。
その現象のことをプルースト効果といい、フランス人作家のプルーストさんの「失われた時を求めて」という作品の中で、主人公が紅茶にマドレーヌを浸したときの香りで幼少時代の記憶を思い出す描写からきています。




このように、においは何かを思い出すときの重要な手がかりになるのです。 ではなぜ「嗅覚」が最も記憶に残りやすいのでしょうか?
それは大脳辺縁系の中に記憶をつかさどる海馬があるからであると言われています。
五感の中で嗅覚だけが、海馬に直接情報を送ることができます。
嗅覚以外の五感による情報はいったん大脳新皮質を通って海馬に運ばれますが、嗅覚の情報は大脳新皮質を介さずダイレクトに海馬に情報を送るのです。



では記憶の問題に対して嗅覚を用いてアプローチする方法などがあるのかどうかを紹介したいと思います。
アロマセラピーと認知症については鳥取大学医学部で研究がすすめられており、実際にアロマセラピーが認知機能障害に対して効果があると実証されたようです。
使用した精油はローズマリー、レモンオイル、ラベンダー、オレンジオイルの4種類のアロマオイルを使用したようで、それらを用いたアロマセラピーは根本治療法として機能する可能性が高いと紹介されました。



現在の認知症治療では薬物療法が主流の中、アロマセラピーによる非薬物療法は、副作用が発生しないという大きなメリットが一番の魅力ではないかと思います。
大脳とアロマセラピーの関係 アロマセラピーによる心身への作用はいくつかありますが、精油成分が嗅覚を介して大脳に働きかける作用は非常に重要であると考えられています。
最初にも述べたように嗅覚は、視覚や聴覚などの感覚とは異なり、大脳新皮質を経由せず直接大脳辺緑系に達します。外部から情報や刺激を受けて情動反応を起こす扁桃体と、記憶を貯蔵し、それを管理する海馬が中心となって活動しています。



アロマセラピーは、精油の香りを嗅ぐことで嗅覚を通じて香りの信号が大脳辺緑系から視床下部に伝えられ、自律神経を整えて身体の機能を調整する自然療法です。
また、心地よい香りが大脳辺緑系に働きかけて、楽しい記憶を引き出したり、気持ちが落ち着いたり、元気になったり、リラックスしたり、また、悲しみに耐えられるようになったりという心理的な効果もあります。
このようにアロマセラピーは、機能単位である大脳辺緑系の特徴を有効に活用して行える癒しの方法です。


投稿日:2017-06-18 | Posted in OT通信No Comments » 

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